外国語学習は苦労する
幼い頃から話している母語を使うことに困る経験ってなかなかありませんよね。
でも外国語を学習しているとその覚える量の多さと複雑さから『どうしてこうも苦労するのか』と途方に暮れた経験をしたのは私だけじゃないと思います😅
日本語を母語とする私たちにとって、
『再生紙』は『さいせいかみ』でも『さいせいがみ』でもなく『さいせいし』ですし、
『そうですよ』と『そうですね』はニュアンスが違うことを知っています。
日本語学習者にとっては複雑な言語規則も日本語が母語の私たちは無意識に使うことができます。
それは母語と外国語の知識は脳の違う部位を使う、違う条件下にあるからです。
まず脳の記憶の種類が違う
以前、記憶の種類について書きましたが、その中の1つ、長期記憶に属する『手続き記憶』と『意味記憶』が関係しています。
手続き記憶
生活の中で学んだ記憶で意識することなく使える記憶。
例えば、お箸の持ち方や自転車の乗り方は毎回記憶を探る必要がなく、一度覚えたら無意識にできますよね。
意味記憶
自分から覚えようと取得した知識で、知的知識に関係した記憶。
例えば、ブルガリアの首都はソフィアでブルガリア語が話されているという知識は一般的な知識として脳に収納されています。
誰でも母語を苦労せず使えるのは知識が自動的に取り出すことができる手続き記憶にあるからです。逆に、外国語は意味記憶にあります。
ということは、母語話者は母語の文法規則などにも意識を払わずに使っているということです。
母語の規則を意識的に学ばない限り、母語話者は母語の規則や仕組みを知らないままなのです。
言語が脳内で保存される場所
大脳が私たちの脳で大部分を占めるのは名前からも想像しやすいですが、この大脳の中に言語学習に必要な部位も含まれています。
言語学習で使う脳の部位は前頭葉と側頭葉で、
前頭葉は頭の正面、おでこあたりに位置し思考や判断を司っています。
(人間が人間らしくいるのに一役買っている部位でもあります。)
側頭葉は耳のあたりに位置し、聴覚や意味処理、記憶にも関わる部位です。
母語と外国語の双方の知識が大脳に広がる神経細胞、大脳皮質(前頭葉と側頭葉周辺)に収納されているという点は同じですが、経由する脳組織が異なっていることが外国語学習を難しくさせる決定的な理由とされています。
脳レベルでも母語と外国語は違う
今回は母語と外国語学習の違いを紹介するために、双方の知識は脳レベルで違っていることを重点的に書きました。
母語話者だからと宿題の手伝いやテストの解説を友達に頼み、余計に分からなくなったことって少なくないと思います。
脳レベルで違う。からこそ難しい言語学習。それをやってのける私たち学習者はすごいです。
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