プロセスが大事
楽しんで一緒に言語能力も上げることができればまさに一石二鳥ですよね。
言語学習と言うと教室で教師と学習する方法が一般的ですが、メディアなどの様々な学習リソースを使ってできる自立した学習方法もあります。
まず、言語学習のリソースとして使うには学習に相互作用があることが大前提です。
例えば、テレビドラマで聞いた単語に疑問を持ち、辞書を引いて意味を調べる行為は相互作用に付随した学習行動といえます。
ここで問題はテレビ視聴で誰が何を学べるかということです。
受動的にテレビを観る場合も文化的社会規範が学べる
翻訳され、学習言語なしのテレビドラマなどでは多くの非言語コミュニケーションが学べます。
(日本語に吹き替えた海外ドラマを観るなど)
コミュニケーションには言語と非言語があり、文化背景や社会規律などの非言語知識も言語を介したコミュニケーションには大切なことです。
(挨拶をするときお辞儀をする、手招きの仕方など)
海外の日本語学習者がぺこぺこと頭を下げていると、親近感もわき、言語を介さなくてもコミュニケーションが取れます🙂
言語管理理論とテレビ視聴
学習言語でテレビ視聴をするときの学習プロセスとして言語管理理論を当てはめることができます。
言語管理理論では自分の言語規範にはない要素に遭遇した際(逸脱)、5つの段階を踏み学習するとされています。
1. 言語規範からの逸脱
2. 逸脱に気づく
3. 肯定/否定の判断
4. 調整方法の検討
5. 逸脱が調整される
すべての逸脱が調整され言語知識となるわけではありません。
例えば、テレビ視聴中に出てきた単語を知らない単語だと認識します。
その単語の意味が分からなくても内容が理解できたら、辞書を引かずに無視することもあるでしょう。
その場合、言語管理プロセスが第三段階に到達することなく終了したことになります。
ただドラマが好きで観ている場合、一番の興味は内容なので、内容理解に支障がない限りはドラマを止めてまで逸脱を調整することは少ないでしょう。
フレーズや、アクセントなどを無意識に学ぶという点では有効に働くと思います。
発音の場合は学習者の母語にない音に対して言語転移が起こりやすいので安易には言えませんが。
学習動機の維持という観点からは、学習言語に触れることでポジティブな感情が生まれやすいです。
そこから言語学習に意味を見出し、言語学習の楽しさ(内発的動機)へと変化することもありますので、直接的に言語知識を得なくても言語学習にはプラスになると思います。
テレビを純粋な学習リソースとして使用する学習者の場合、言語管理プロセスを意識的に行うことで言語能力をより上げやすくなるのがメリットです。
言語管理プロセスの最終段階では適切な知識へと調整する必要があります。
調整の段階では注意が必要ですので、その観点からも自分の知識からあまりにもかけ離れた知識を対象にしないことが重要です。
色々な条件で得る知識が変わる
多くの研究がありますが、年齢や学習レベル、学習者タイプなどの要因が関わってくるので一概には言えません。
そして臨界期を過ぎた学習者の言語学習は、幼児が母語を習得する過程とも異なります。
注意事項を知っておく必要もありますが、
なによりもテレビを上手く使うことで、単調になりがちな言語学習に色を加えることができる便利な学習リソースの1つだと思います🌻
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